新技術のリバース型人工肩関節置換術(Reverse Shoulder Arthroplasty:RSA)

新技術のリバース型人工肩関節置換術(Reverse Shoulder Arthroplasty:RSA)と従来型の全人工肩関節置換術(Total Shoulder Arthroplasty:TSA)との違い近年、腱板断裂によって肩の挙上が不能となった患者様には、腱板を修復する「腱板縫合術」や「肩峰形成術」が行われ、変形性肩関節症や関節リウマチによって肩の挙上が困難となった患者様には、肩関節そのものを人工物に換える「全人工肩関節置換術(TSA)」という手術が施行されてきました。

しかしいずれも「腱板機能が温存されている事」が前提条件であり、腱板機能修復不能となった患者様には「腱板縫合術」や「TSA」は適応となりません。こうしたなか、1986年頃よりフランスで開発され、腱板機能修復不能な患者様に使用されてきた「リバース型人工肩関節置換術(RSA)」が20年以上のときを経て、2014年4月から日本でも使用が可能となりました。

ではTSAとRSAの違いとは何でしょうか。TSAでは肩の挙上に三角筋と腱板(棘上筋など)双方の力が必要です。一方RSAは既に腱板(棘上筋など)が失われていますから三角筋の力だけで挙上しなくてはなりません。それを実現するためにRSAでは、肩の回転の中心を本来の位置よりも内側かつ下側に位置し、これにより肩峰(肩のてっぺん)から上腕の外側についている三角筋のレバーアームを長くすることにより、三角筋の力だけで肩を挙上することを可能としました。(三角筋の筋力が弱い方はすぐに挙上できるとは限りません。

なお手術の適応は「原則70歳以上」、「他の筋肉には問題ないが腱板断裂によって肩の構造が破綻し肩の挙上が不能な状態」、「レントゲン上、関節に変形が認められる状態」という3つの条件が基準となります。RSAは腱板断裂に対する最終手段です。RSAは日本整形外科学会の定めるガイドラインに既定された要件を満たした医師にしか執刀できない高度な治療法で、当院はRSA認定病院です。肩の挙上が困難とお悩みの方は、通常の治療より高度で特別なRSA認定医の小瀬忠男にご相談下さい。